プロフィール

片方 英男(以下 ヒデちゃん)

 1983年 岩手県生まれ。只今減薬中。


 香澄(以下 カスミン)

 1983年 青森県生まれ。


 ヒデちゃんは16才の頃から心身の不調を感じ、20歳頃から精神薬を飲み始め、後に「社会不安症」と診断されました。
 岩手、金沢、埼玉、東京と住まいも職も転々としている中、東京でカスミンと出会い、その後ヒデちゃんは父の病気をきっかけに岩手の実家へと戻る事になりました。
 2014年に2人は結婚し、カスミンも岩手へ。

 ヒデちゃんは薬を飲みながら働いていましたが、調子が悪くなると休みがちになり転職を繰り返し、カスミンはそんなヒデちゃんを支えながら働いていました。


 仕事を辞めるのにもパワーを使うし、辞める度に自信を失っていっているようにも見え、キリが無いのでヒデちゃんには仕事を辞めて治療に専念してもらうことにしました。
 そんな矢先にカスミンも適応障害になってしまい、このままでは共倒れになってしまう…と悩んでいた時に、知人から網地島を紹介されました。

 すぐに見に行き、2人とも島の美しい風景に一目惚れし「これは今すぐにでも引っ越すしかない!」と、知り合いも仕事のつても無かったけれど、車に家財道具を積めるだけ詰め込み、4ヶ月後には住み着いていました。
 うまくやっていける保証はありませんでしたが、好奇心と、大自然の中で日々の暮らしを工夫して生きること、そして、島の皆さんからの温かい支援があり、二人とも自分らしく居られる様になっていきました。
 
 私たちの経験が、同じような悩みを抱えている方の助けになれば幸いです。

ヒデちゃんから


二十年以上、社会不安症と向き合って

 僕はかなりの長い間、強いこだわりとネガティブ思考の悪循環に囚われ、理不尽な出来事や嫌な気分も全て社会や他人のせいだとイライラし、疲れ果てていました。

職場や人間関係において「普通」や「当たり前」に自分を合わせようと努力しても、うまくいかないことが続きいつも苦しんでいました。


そんな時、網地島での暮らしが僕の心を大きく変えてくれたのです。

島のゆったりとした時間の中、自然の厳しさと美しさに触れ、ありのままの僕を受け入れてくれる島の皆さんとカスミンに支えられ、初めて猫と生活を共にし、自分の好きなことに没頭できる時間を手にしました。


心地よい環境の中で心の声に耳を傾けていると、物事をネガティブに捉える自分の心の癖に気づき、同時にその方向性をポジティブに変換したいという好奇心が芽生えました。

自分の思考が物事の解釈を決めていることに気づき、意識的にポジティブな面に目を向けるようになりました。

 

島に来てから、念願だった畑での野菜作りを通して、自分よりも自然のリズムに身を委ねること、その時期での役割を柔軟に対応することの大切さを学びました。

自然摂理に学び、自分自身と周りの人との「喜び」「楽しさ」「感謝」を大切に、心の声に耳を傾け、過剰なストレスを避ける心地よい環境を手に入れました。


そして、ヒプノセラピー(催眠療法)やNLPと出会い、自身の特性をより深く理解し、活かす方法を学び始めました。
僕は、興味を持ったことに対し、強すぎるこだわりと集中力と持続力を発揮するという特性を持っています。

以前は、ネガティブな思考に囚われ、周囲との衝突や自己否定に苦しんでいましたが、今では、その強いこだわりと集中力が、自分の興味や目標に集中させる建設的な力に変化しました。
日々変化していく自分を実感しながら、新たな自分の可能性を探求し続けています。


過去の苦しみは「今の自分にとってかけがえのない体験」と受け入れられるようになり、日々の生活が驚くほど楽になりました。

毎日、網地島での日々は、僕にとってかけがえのない宝物です。

カスミンから


 どうにもならなくて、環境を変えようと思った2019年。

 うまくやっていけるのかなんて全くわからなかったけれど、自由で不自由な大自然の中、日々を生きることでヒデちゃんもわたしも自分らしく居られる様になってきました。

 身動きが取れなくなったら、身を置く場所を変えてみるのもひとつの選択肢だと思います。

 ヒデちゃんのような当事者も大変ですが、それを支えるパートナーや友人だって、一緒に体感することで見えてくるものがあるのではないのでしょうか。

 人と同じでなくても、心地良く生きることはできるんだと実感しています。